原種スイセン考察

植物たち

先日紹介したロミエウクシー「春の光」はアッという間に二番花が開花.そして同居しているナスタにも小さな花芽を確認.今は「デュオ」だがそのうち「トリオ」になれるのか!?ん~,このナスタの花芽の小ささでは春の光が過ぎてしまいそうだなぁ.

ロミエウクシー「春の光」;2番花開花 1/13撮影
ウラから見るとナスタの花芽がある 1/13撮影


花友さんのブログで「モノフィラスが咲いたけど,どうもモニフィラスではないようで,モノフィラスで販売されているものはフォリオススなのでは?」という事が書かれていた.「フォリオスス」?何ソレ?という訳でここから怒濤のネットサーフィン旅が始まった.

まず学名から攻める.
スイセン(Narcissus)の分類を見ていると大きく11に分類されていて,そのうちの1つがバルボコディウム(Bulbocodium)となる.パラボラ咲きの仲間はみなココに入る.そういえば単に「バルボコディウム」として販売されているものもあるなぁ.まぁ,間違いではない.(^^;

バラボラ咲きにもいろいろ居て,その中にカンタブリクス(cantabricus)が居る.カンタブリクスの仲間にもいろいろ居て(ややこしい)単にカンタブリクスも居るが,その中にモノフィラスとフォリオススが居る.(さらにややこしい)学名は下記の通り.
カンタブリクス;Narcissus cantabricus ssp. cantabricus
モノフィラス;Narcissus cantabricus ssp. monophyllus
フォリオスス;Narcissus cantabricus ssp. cantabricus var. foliosus

学名はラテン語,それぞれ意味がある.
そこでDave’s GardenのSearching Botanaryで検索してみると…
カンタブリクス(cantabricus);「Of or from Cantabria”=カンタブリアのorカンタブリアから」
モノフィラス(monophyllus);「One-leaved=一葉の」
フォリオスス(foliosus);「Leafy=緑豊かな」
とのこと.
モノフィラスとフォリオススは全く逆の意味だ.(・_・) 1枚葉の品種と緑豊かな品種.う~みゅ.
カンタブリアってどこ?と調べるとスペイン北部・イベリア半島にある地名だった.モノフィラスもフォリオススもここに自生してるってことか.

あるサイト(https://www.botanic.jp/plants-na/narfol.htm)ではフォリオススの説明で「イベリア半島から北アフリカに分布,最も早咲き,11月下旬~早春 花は淡黄色を帯びた白色」とあった.

また海外サイト(https://www.pacificbulbsociety.org/pbswiki/index.php/NarcissusSpeciesTwo)ではこんな記述もあった.
N. cantabricus ssp. cantabricus 1球に葉は1本以上,スペイン
N. cantabricus ssp. monophyllus 1球に葉は1本,花色純白,南スペイン,モロッコ,アルジェリア
N. cantabricus ssp. cantabricus var. foliosus 1球に葉は3~8本,花色クリームホワイト,モロッコ 

ちなみに咲くやこの花館でフォリオスス(N. cantabricus ssp. cantabricus var. foliosus)の記述に出会ったのでついでに載せておく.いつまであるか分からないけど.→https://www.sakuyakonohana.jp/botanical/4040/

これらの情報を見ているとモノフィラスは葉数が少ない(1本と書いてあるが本当に1本なのか?確証がない.いや,葉が1本だけの写真なんて見たことが無い.たいがい複数本出てきてるけどあれは分球してるんか?),フォリオススは葉が多い,という事は確実だ.

さて,ここでウチのバルボコたちを見てみることにする.
今季一番最初に咲いたのはモノフィラスの名札が付いていたもの.白っぽい花が咲き,二番花が開花していたがこの花もほぼ終了.

モノフィラス 1/12撮影
1番花の株元;葉が3本 1/12撮影
2番花の株元;葉が4本 1/12撮影

う~みゅ,葉が1本ではないぞ~っと.(~_~;) コイツもフォリオススなんだろうか?

そもそも葉が1本だけの真性モノフィラスってあるんだろうか? と疑問に思ったのが運のツキ.またネットサーフィンの旅へ.いろんな画像を見るものの葉が1本だけってものが無い.

行きついたのはKewの”Plants of the World Online”というサイト.
ここでモノフィラスを探ってみると
https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:77258237-1
Narcissus cantabricus subsp. monophyllus
This name is a synonym of Narcissus cantabricus” 
と出てきた.へっ!?シノニムなの!?(・_・;)「モノフィラス」って結局「カンタブリクス」ってことなのか.Kewの画像で「Narcissus monophyllus」となっているものを見ても葉は1本ではなかった.

そしてフォリオススを探ってみると
https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:77067792-1
Narcissus foliosus
This name is a synonym of Narcissus albicans
「アルビカンス」?こんなの知らんぞと思ってリンクを辿るととんでもないページに…(@_@)
https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:65882-1
Narcissus albicans
37個もシノニムがある!!なんだこりゃ??
シノニムの中でfoliosusの言葉が入っているものは次の通り.5個もあるしmonophyllusと同時に入ってるものもある.ホントになんだこりゃ?ワケワカメの世界.混迷の度が深まり底無しのドツボにハマってる感じ.(-_-)
Narcissus × albidus subsp. foliosus
Narcissus bulbocodium var. foliosus(Maire)
Narcissus cantabricus var. foliosus Maire
Narcissus foliosus (Maire) 
Narcissus monophyllus var. foliosus Maire
最後のヤツなんて葉が一枚なのか豊かな葉なのかどっち??(~_~;)
ここまで来て力尽きた.上記種類のそれぞれの明確な説明でもあれば良いのだが,,,さらにリンクをたどれねばならず時間切れ.

ということで結論;どれも「カンタブリクス」でいいんじゃね?(-_-)
ただ,面倒だから今まで通りの名前(入手時の名札通り)で呼んでおこうと思う.後で検索する時が楽だし.(爆)

アマチュア園芸家が楽しむ分にはキレイに咲いたらそれで良しなんだけど,いつも流通に乗る植物名の混乱と園芸界の分類の混乱には振り回されるなぁ.(-_-)

—–
さて,気を取り直してここからは手持ちの原種シクラメン・今の状態のメモ.

まずはカンタブリクス.2018年2月の咲くやイベントで入手したもの.分球して増えているものの一部.花芽を確認.これは葉数が少ない感じがする.

カンタブリクス 1/12撮影
カンタブリクスの花芽 1/12撮影

お次はロミエウクシー・ジュリアジェーン.花芽が確認出来た.こちらは葉数が多い.

ロミエウクシー・ジュリアジェーン 1/12撮影
ジュリアジェーン;花芽確認
ジュリアジェーン;2つの花芽

お次はザイアニクス・アルバ.2018年12月に園芸店で入手したもの.

ザイアニクス・アルバ 1/12撮影
ザイアニクス・アルバ;めでたく開花 1/16撮影

こちらは品種は不明で「レモンイエロー」の名札のもの.こちらは葉数が多い.

レモンイエロー 1/12撮影
レモンイエローの花芽

ここからはバルボコではない原種シクラメン仲間たち.どれも葉だけで咲きそうにない.

キクラミネウス 1/12撮影
アストリエンシス 1/12撮影

あと今の画像は無いが原種スイセン仲間にヴィリディフローラも居ることを付け足しておこう.載せているのは昨年10/24のもの.

ヴィリディフローラ 22/10/24撮影

コメント

  1. ひえぇえええ、私が水面突っついて、深そうだからさっさと立ち去った沼で溺れかけていらっしゃる〜。
    そんな深い場所まで調べてまとめてくださって、感謝感激。
    さすがDORAさん。それはもう大変興味深く読ませていただきました!
    そして、結論のところで、思いっきり吹き出してしまいました(^^;。

    そうなんですよー、カンタブリクスでいいんじゃね?と思う。
    でも、慣れ親しんだモノフィラスという名前にも愛着がある(そうそう、検索の都合もある)。
    さて、どちらで呼ぶべきか悩ましいです。
    流通段階でちゃんとしていただけるとありがたいなぁと思うばかりです(^^;;。

    • DORA より:

      ぺんぎんびたきさん,こんにちは(^^)
      いや~,おかげで楽しい?「お題」を頂きました.
      結論はともかく(^◇^)これでスッキリしました.「バルボコ」と呼ぶのも良し「カンタブリクス」と呼ぶのも良し.
      今,モノフィラスの名札が付いた鉢を引っ繰り返して球根の様子を見てみたい衝動にかられています.(^^;なんとかこらえてますが…
      ホントにねぇ,正しい名前で販売してくれたら一番なんですが.
      と言いながら昨年咲くやこの花館のイベントでお土産にもらった「原種スイセン強健MIX」というラベルの鉢で開花が始まりそうです.なんか強そうな名前!(^^; MIXなら「バルボコ」でいいや,なんてね.(^o^)

  2. ミトン より:

    ぺんぎんさん DORAさん (✿✪‿✪。)ノコンチャ♡
    あんれまぁ ヤバイ沼嵌ってしもうてたでっか…
    ワラシも年末に疑問に~ んが、突く前の波紋で諦めた(笑)
    結論は~ カンタブも略し、「パラボラっ子」で統一する気満々
    「馬面」「笛吹」なんぞもお仲間とする気な適当人でっす(^_-)-☆
    ラベルは入手時品名記載しとりま、維持出来るかも怪しで把握せず(出来ず)

    小形での「糸葉」のも居てまして~ それはどうしようかとチョイ悩み(-_-;) 

    • DORA より:

      ミトンさん,こんにちは(^^)
      底なしの沼でしたがなんとか生還しましたです.(^^;
      「パラボラっ子」!なるほど「バルボコ」の和名ですね.(^o^)
      「バルボ子」と書いたら似てる?…←アホ

      馬面なキクラミネウス,咲いてくれたら嬉しいんだけどなんとなく葉だけみたい.(-_-)
      笛吹きはウチに居なかったかな.
      あと口紅(ポエティクス)は居るんで咲いて欲しいなぁ.
      やっぱりラベルには入手時の名前書きますよね.

      小形の糸葉って正体が気になります.どんな花が咲くんでしょ?

  3. たま より:

    おはにゃ~~( ̄▽ ̄)
    昨日は講習会情報ありがとうございました
    で、

    わ~~文字が模様に見えるぅ・・・( ̄▽ ̄;)

    確かに~~底なし沼(^^; 御帰還できて良かった
    んでも写真のアップを見てたら細い葉っぱでも形状(真ん中に筋とか太さとか)は違うもんですねえ~
    ま、、私には結局よう解らんけど
    可愛いから育てるよ( ̄▽ ̄)

    • DORA より:

      たまさん,おはようございます(^^)
      講習情報はヘレボで有名な野々口さんが咲くやで初めて講習するよという情報をFacebookに書かれていてリンクをたどると出てきたんですよ.ひょんなきっかけでした.(^^;

      学名横文字ズラズラ並ぶとTシャツの模様になるなぁ,なんてね.(^o^)
      ホント底なし沼でした.
      おぉ,さすが眼の良いたまさん!目の付け所が違う!(*^^*)
      そう,言われてよく見れば葉の太さや数の違いはありますね.ま,気にせず育てましょう!どうせバルボコ,カンタブだもんね.(^◇^)